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  • 執筆者の写真柏木

アウトプット諸々①


今日も今日とてアウトプットしていきます。


飛鳥井望 監訳『PTSD治療 ガイドライン 第3版』金剛出版、2022年

行きつけの図書館が医療系の文献が充実していて助かっています。

当事者向けの本ばかりではなく、たまには治療者向けの本も読んだりします。

治療者がどういうロジックでわれわれの治療を実践しているのかがわかるのでおすすめですよ。


私は曲がりなりにも認定心理士(大学で心理学をメインに修めたのち、日本心理学会に単位の証明を添えて申請することによって取得できる資格)だったんだなあとふと思い出しました。心理学の専門書や論文をなんのてらいもなく手に取ることができる(すべて理解できているかはともかくとして)、のは大学を卒業したおかげだよなあとしみじみ思いました。自信をつけていきたいですね。


さっそくアウトプットです。今日が返却〆切日なので、やや急ぎめにアウトプット笑












高い。図書館最高。以下、本書が出典となっております。


・トラウマ体験を個人的な経験としてのみ抱えて苦しむのではなくて、人類の経験の一つとして理解する といった主旨の記述がありました。

→知能が正規分布をきれいに描くように、トラウマを抱えることもあくまで統計的な偶然性や、不運(益田裕介先生)によるものなんですね。

〝恵まれた人々〟が彼らであって、トラウマに苦しむのが〝われわれ〟であることに必然性はなく、ただ偶然によるものなんです。

・PTSDの治療にあたり、患者群が「ごく普通の治療」(エビデンスはない)からエビデンスのある治療に遷移したことにより、医療費等のコスト面が抑制されたというオーストラリアの研究が紹介されていました。

→変な「カウンセリングおばさん/おじさん」に若い人はひっかからないで欲しい。切に。


すべては読みきれていませんが、ざっと読んだだけでも価値のある本でした。精神科医のような治療者が相当筋みち立ててわれわれ患者の治療をやってくれているということがわかりました。私も応えなければいけません。ここで言う応えるとは、「ロジカルに考える」ということです。



戦争トラウマ

打って変わって、「戦争トラウマ」の話をしたいと思います。


若者には想像つかないような話をします。

私は現在35歳なのですが、祖父/祖母が戦争を直接的に体験しているんです。両親はそんな戦争を体験した両親(祖父母)に育てられた上で、私と姉の育児をおこなったわけですね。


父方の祖父はソ連に抑留され強制労働に従事し、命が助かり帰国しました。祖母も不安の多い人だったようです。

母方の祖父は衛生兵でした(出征先不明)。祖母は本当に厳しい人で、伯父(母の兄)が大阪の大学に合格しても行かせない、薬剤師になろうとした母の進路を邪魔するなど、いわば負の教育虐待を行ったようです。

そのようして育った父母が何を思ったか見合いをし、結婚し姉と私をもうけたわけです。


ドラえもんやサザエさんで、「雷オヤジ」が登場しますよね。野球のボールが庭に入ったり窓が割れることにより、すさまじい勢いで激昂するあのキャラです。あの「雷オヤジ」は戦争トラウマを負っている人がモチーフなのではないかといった学説があります(出典失念)。


PTSDは、ご存知のとおりベトナム帰還兵の登場とともに記述されはじめた疾患です。

でもよく考えてみてください。戦争はなにもベトナム戦争が初めてではないですよね。


日本史でも応仁の乱やら関ケ原の大戦やらずっと国内でも多くの戦のしどおしで、世界史でも薔薇戦争、百年戦争、それこそアレキサンドロス大王の遠征からなにから、ずっと戦争しどおしでしたよね。

ベトナム戦争を契機としてPTSDが〝発見〟されたことは、むしろ遅すぎるように私は感じてしまいます。



〝神の国〟という概念

引き続き思想強めな話をします笑

日本で第二次世界大戦でのPTSDが着目されなかったことは、日本はカミカゼが吹く国、〝神の国〟であるというよくわからない矜持が影響を与えていたそうです。

戦争から帰還した男性たちはいったんは「なにもなかった」ことにされましたが、その実、家庭内で暴力行為(今でいうDVですね……)を多く続けていたそうです。

神は「強くなくてはならない」からですね。



ですが本書でも示されているとおり、基本的にPTSDは治療を受けることによってトラウマ処理がなされるわけです。もっといえば治療を受けたとしてもトラウマが〝消失〟することはない。トラウマが「傷あと」(白川美也子先生)になったことによって、新たな人生を生き始めるといったほうが適切だと思います。


つづきます。




















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