ジャニーズ元代表による性加害問題に関する一考察(下書き)
益田裕介先生の動画で問題を知った。
情弱なので、ジャニーズ元代表による性加害事件というのをはじめて知った。
益田裕介先生の動画がこの問題への初見だった。
私はジャニーズ事務所? のアイドル? のことは全然詳しくない。スマップや嵐が何人メンバー? なのかも知らない。うちテレビないし。
そもそも芸能界? というのはしょっちゅう違法薬物による事件を引き起こしており(LINEニュースは見る)、あまり芳しいイメージを持っていない。
「テレビなんか見ないよ」的な中2病的な気取りではない。部屋にテレビを置くスペースはないし、芸能界? のことは本当に無知ゆえによくわからないので、興味を持ちようがないのだ。私にはまったく縁がない世界なので、どうでもいいというのもある。
そんなある日、益田裕介先生の動画を観た。思うところが私もあったため、この問題を考えてみようと思う。具体的には、法的観点から考察してみたいと思う。
法的観点からジャニーズ問題を考える。
行政書士試験の試験範囲は憲法、民法、行政法、商法、一般知識+基礎法学によって構成されている(刑法は含まれていない)。
ジャニーズ問題を考えるに当たってさしあたり使えそうなのは、民法、行政法(考え方のみ)、一部憲法、こんなところだと思う。
まず最高裁の判例データベースで当該事件を検索してみたが、載っていないようである(判例データベースはすべての事件が閲覧できるわけではない)。
そこでネット上に出典を探すことになるが、玉石混交で幅広い動画やサイトによって取り扱われている。ご自身で探してみて欲しい。一つだけ以下リンクを貼っておく。
浴室で体を洗われ…ジャニー喜多川氏の性加害、おぞましい衝撃的内容が波紋:BBC番組 (biz-journal.jp)
→過度に感情的になることもなく事実を中心に書かれた記事で読みやすい。
それではさっそく考察してみたい。
人権侵害
単刀直入だが、性加害はあからさまな人権侵害である。
人権はジャニーズ元代表だろうが少年たちだろうが皆等しく享有するので、ジャニーズ元代表「だけ」が精神的自由権を主張して少年らに性加害をすることは当然許されない。許される余地はない。
また、未成年は制限行為能力者である。この制限行為能力者には
①未成年者
②成年被後見人
③被保佐人
④被補助人
の4種類がある。うち、家庭裁判所の審判開始がなくても制限行為能力者として庇護すべき、とされたのは①未成年者だけである。
法律は子どもの健康な発達を望んでいる
法律は憲法をトップとして、矛盾がないよう系統立っており秩序立ててネットワーク化されている。子どもの権利条約、児童福祉法、憲法、民法、つまりは特別法も含め、子どもの健康な発達や精神的な成長を望んでいると解することができる。
歌を歌いたい、ダンスをしたい、自己表現したいとジャニーズに入所してきた少年らに対し、みずからの性的欲求のままに性加害を行ったという事実は、違法性のみならず道義的/倫理的にも批判されてしかるべき行いである。
ちなみに特別法である労働基準法では、使用者には労働者に対する安全配慮義務がある。
民法の一般不法行為
あらゆる法律には要件がある。以下のすべてを満たすと不法行為と認定される。
故意又は過失があること
責任能力があること
権利又は法律上保護される利益を侵害すること
行為と損害との間に因果関係があること
違法性阻却自由がないこと(正当防衛と緊急避難でないこと)
また裁判では、単に「違法です」とするだけ(事情判決するだけ)ではない。被告に損害の賠償を命じるのである。
不法行為の損害賠償請求権には期間制限がある。
主観的期間(損害を知ったときから3年間)、客観的期間(不法行為の時から20年間)である。
つまりは原告適格のある元少年たちが、被害を「自覚」し警察や民事訴訟を起こす必要性がある。
事実なのか? という問い
あらゆる観点から事実である、と結論づけることができるが、例を一つ挙げればBBCは今回ジャニーズ事務所に取材を申し込んでいるのである。
もしジャニーズ元代表が清廉潔白であり、性加害のニュースが全くもって事実無根なのであれば、ふつうは事務所は「事実ではない」とのコメントを出すだろう。あるいはBBCに対しそれこそ名誉棄損等で訴訟を起こしてもいい。
だがジャニーズ事務所は取材を「拒否」したのみで、逃げきりを目指しているのである。沈黙をつらぬくことでやり過ごそうという思惑かもしれないが、ふつうは「事実でした」と認めていると受け取られるだろう。
多数の告発本の存在(証拠)
告発本が多く出版されていることもジャニーズ元代表の性加害の事実を裏付けるものとなるだろう。
これら告発本に対し「売名行為だ」とラベリングすることは簡単だが、売名行為で「ジャニーズ元代表から性加害を受けた」と偽証するのはあまりにもリスクが高すぎる。
偽証罪で訴えられるリスクのことばかりでなく、日本では「トラウマ・スティグマ」(性加害の被害者に対する安易なラベリングを指す)がはびこっているからである。要するに「自分は性的暴行を受けました」と告発することは、売名行為にしてはあまりにリスクが高く、かえって社会的に抹殺される可能性すらあるということである(当時の時代考証としても妥当な推測と思う)。
元アイドルたちが告発本を出したのは性加害が「事実」であり、ジャニーズ事務所という非倫理的な組織がある、そしてそれが日本を席捲しているということに危機感があり、「なにかしなければ」といった使命感に駆られてのことと考えるほうが妥当であろう。
また告発本は1冊ではなく、複数の当事者から出ているのだ。これを事実に反すると断言するからには、それなりの説明が必要である。
つづきます。