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  • 執筆者の写真柏木

篠原菊紀監修『マンガでわかる 脳と心の科学』(池田書店)

冒頭で脳の基礎知識の概要が述べられる。そこから徐々に発展し、脳と病気、脳のメカニズム、AIなど比較的多岐にわたり脳のことを学ぶことができる。漫画がメインなので読みやすい。


もっとも印象に残ったのは、恐怖記憶を消去する方法として紹介されているDecNef法である。

DecNef法のしくみとは、「恐怖を感じているときの脳活動パターンを調べ、同じような脳活動パターンを検出したら報酬を与えることで、恐怖記憶を消していこうとする方法」(篠原菊紀,2019)である。


実験の方法を簡単に述べると、


①実験参加者の脳に電気刺激を与え、「赤い丸」を見たときに恐怖記憶が形成されるようにしておく。その時の脳の活動パタンを記録しておく。

②その後実験参加者にはさまざまなことを思い出してもらう。「赤い丸」を見たときに近い活動パタンが出現するほど、高得点が表示される(実験参加者には高得点なほど報酬(金銭)が貰えると伝えておく)。

③「赤い丸」を見せても恐怖反応を示さなくなる。


「『赤い丸』と『報酬』が結びついたことで、無意識下で『赤い丸と恐怖が切り離された』」(篠原)というわけだ。


PTSD患者が考えるのは、このような有用な実験結果を自身の生活に活かせないか、ということだと思う。私もそのように考える。

この実験結果が示すのは、恐怖記憶そのものが消失したわけではないが、報酬という嬉しさによって記憶が上書きされた、ということである。

実験ではこの訓練が恐怖体験を消去するためのものと実験参加者は知らなかった等(ブラインド)の事情もあるので、まったく追試と同様にして生活に採り入れることは難しいだろう。自分自身の安全性を重視しながら、実験のエッセンスを採り入れる形で〝生活実験〟をすることとなるだろう。


思い出すのは、かなり昔だが日本心理学会の講演で聞いた「恐怖記憶を思い出す度、心の中で『安全だ』と呟く」という手法である(発表研究者、また詳細は失念)。


恐怖が思い出されるのに任せ、そのまま〝呑まれて〟しまい、「ぐるぐる思考」に陥る前になんとかして気がつく必要があるのだろう。そして「安全だ」と呟くなり、自分にとっさに報酬を与える(深呼吸、楽しいこと/好きなものを思い浮かべる……)ことが有効なのかもしれない。


まずは自分で実験してみるので、またその結果をつぶさに報告したいと思う。









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